なび息子が1歳半ぐらいの頃から始めた“ねんね前の読み聞かせ”も、2歳4か月になる今ではすっかり習慣になりました。初めはちっとも聞いてくれないし、自分でページをめくりまくって絵本で遊び始めてしまったりで全く上手くいかなかったのですが、2~3か月も続けていると次第に興味を持って聞いてくれるようになりました。
そうなると読んであげる方も力が入ってくるもので、少し買い揃えた童話だけじゃ物足りなくなりまして、その週に読む絵本を図書館で借りてくるようになりました。
はじめはなび息子にウケが良かったミッフィーちゃんや、0歳~2歳児向けの棚から何冊か選んでいましたが、だんだん行き当たりばったり的な絵本の選び方に、「今のなび息子にとって“良い本”を選んであげられているのかしら?」と不安に思うようにも。
そこでインターネットで2歳児向けのオススメ本を検索しては、それを図書館のホームページから予約登録して借りるようにもしたのですが、実際にはそうして選んだ本よりも、図書館でどこからか持ってきたなび息子リクエスト本の方が何度も読むようにせがまれたり・・・。それも、「なび息子には、まだこの本は難しいよ!」と戻しに行きたくなるくらい文字が多い本のときがあれば、逆に絵ばっかりの0歳向けっぽい絵本を2週続けて借りようとしたり、イマイチなび息子のツボが分かりません。
良い絵本選びって、みんなどうしてるんだろう?
そんなモヤモヤを抱えていた私に、目からウロコが落ちるようなお話をしてくれたのが「すくすく文庫」さんでした。何ともスッキリと悩みを解消してもらったその場所は、村上団地内にある絵本の図書館!“文庫”と聞いても馴染みがないかもしれませんが、地域のお母さん方がボランティアで運営している私設図書館のようなもので、かれこれ30年も活動が続けられているんですって。
場所は、村上公民館に隣接する児童会館の2階です。ジョイフル本田前に新しく出来た16号の交差点から、生活館とペット館の間を道なりに進んでいきます。途中右手に村上ひかり幼稚園があるその道をもう少し入っていくと、村上団地1-38号棟と37号棟の間に村上公民館の駐車場入口の門が見えてくるので、そこを抜ければすぐ前に建物が見えます。
一度分かればとても来やすいのですが、村上団地に住んでなかったらここを通ることもないし、教えてもらわない限りずっと知らないままだったわ・・・。
車は公民館の駐車場を無料で借りることができます。駐車台数は意外と多く、門を抜けて右側に白ラインが書いてあるのですが、ここに縦列駐車が出来るのと、その奥に駐車スペースが数台分、さらにグラウンド脇の砂利の部分にも停めて良いそうです。うっかりグラウンド内にも停められるのかしら?と思えてしまう感じでしたが、学童保育所の園庭として利用されているので利用できません。
※6月・12月頃に年2回行われるお楽しみ会の日は、たくさんの方が集まるので基本的にバスなど公共交通機関を利用するなどして、駐車場の利用は控えていただいているとのことでした。
建物の正面向かって右側が公民館、左側が児童会館になっていて、すくすく文庫は児童会館の外階段を昇った2階にあります。階段は少し急で、且つそれほど広くないこともあってか、ベビーカーは階段の下に並べてありました。ここに停めてお子さんだけ抱っこして皆さん利用されているのかな?
ちなみに、向いには郵便局や銀行があるので人通りは多いけれども、ここまでは車が出入り出来ないので、ベビーカーにセットするときなどもちょっと安心。
2階の正面玄関で、下駄箱に用意されているスリッパに履き替えて右手へ。廊下の一番奥にある金属扉の先が、すくすく文庫の入口です。今思えば、お子さんが勝手に出ていかないようになんでしょうけれども、扉が開館時間も常に閉じている状態だったので、入るのにやや躊躇してしまいました・・・。
ここで良いのよね?
なーんて戸惑いながら開けてみたらびっくり!毎週水曜日だけしかオープンしないと伺っていたので、てっきり移動図書館みたいな簡易なものだとばっかり思っていたんです。ところがどっこい、普通にちゃんとした図書館じゃないですか!
現在すくすく文庫を支えているボランティアスタッフは総勢20名ほどいらっしゃるそうで、毎週の開館に合わせて、10:30~13:00とその後15:30の閉館時間までの入れ替え制で人のやりくりをし、本の貸出管理や子供たちへの読み聞かせ、お母さん方へのアドバイスなどを行っているそうです。
この日も女性の方が3名ほどいらっしゃいました。
『このすくすく文庫を支えているスタッフは、皆さん子供が小さかった頃には“利用者”として訪れていた方々だったりするんですよ。こうした活動を始めて30年近くになるのですが、最初の頃は村上団地の集会所の入口で、県立図書館などから団体貸出をしてきた本を都度並べていました。当時、本を閉まっていたロッカーというのが、このカウンターの奥に並んでいるグレーのロッカーなんですよ。昭和57年の村上公民館開館に合わせて、市にお願いしてこの活動のために児童会館の一室を提供していただき、現在に至っています。』
当時は村上団地にどんどんと若い世代が移り住み、子供たちで溢れかえっていたそうです。まだ一番近い図書館といえば大和田図書館くらいしかなく、このすくすく文庫が村上団地の図書館代わりとして大変な賑わいを見せていました。しかし、だんだんと子どもが少なくなり、また勝田台図書館も近くに出来て、さらに車を利用するママも増えて緑が丘図書館や近隣市の図書館を利用するようにもなり・・・すくすく文庫の利用者は次第に低年齢化が進んでいったそうです。
『当時は大きなお子さんも大勢いらっしゃったので、小学生~中学生向けの本を主に取り揃えていました。利用する際も今の図書館と変わらず、静かに周りに気遣いながらの空間でしたが、市内の図書館が整備されるとそうした子供たちはすくすく文庫から消え、次第に小さなお子さんが対象となっていったのです。
毎週水曜日は幼稚園が午前保育だったので、帰りに寄ってくださるお子さんも多かったのですが、土曜日がお休みになってからは水曜日の開館に間にあわず、さらに利用の中心が0歳~未就園児と絞られるようになりました。もちろん今でも幼稚園に通いながら遊びに来てくれるお子さんも大勢いますが、最近はバスで遠い幼稚園に通う傾向も多いせいか、なかなか時間が合わないようです。』
30年近くもの年月の間に、すくすく文庫の蔵書も5,000冊を超えるほどにまでなりましたが、こうした利用層の変化に応じて、今も新しい絵本を定期的に増やしているんだそう。
しかも、単に数を増やすのではなく、どれもかなりこだわって選ばれてきた良質な絵本ばかり!
『とにかく、蔵書には自信があります。また、一般的な図書館と違って親子連れの方しか来ませんので、周囲に気を使うことなくゆっくりと絵本をお選びいただけるのも特長のひとつですね。』
そうそう、そうなんですよー!
いつも図書館へ借りに行くと、まだ2歳のなび息子は急に大声を出してみたり、ちょっと目を離すと本棚の影に隠れてどこかへ消えてしまったり、気付けば本をあちらこちらから持ってこようとしたりで、周りの迷惑を考えると落ち着いて本を選ぶことが出来ないんです・・・。
なので最近は予約した本を受け取るスタイルで利用していますが、やっぱり手にとって選ぶ楽しさも捨てがたいし、子供に選ばせてあげられないという不満は残ります。
でもここなら追いかける必要はないし、賑やかにしてもお互い様だし、それになによりボランティアスタッフの方々と絵本について、さらには先輩ママとしての子育てアドバイスまで話し合えるのが素晴らしい!
私が絵本をどのように選んであげれば良いのか悩んでいるということを口にすると、いくつか良い絵本選びのポイントを教えてくださいました。
①子供に媚びていない
いかにも子供向けに描こうとしているものより、きちんと実際にあるありのままを描いてある絵の方が、子供も不自然に感じないそう。例えば、動物なのに人間のような手をしていたりすると、子供は「どうして?」と聞いてくるそう。でも逆に、こういう発見を子供がしてくれると感動しますよ!とおっしゃっていました。
媚びずに真面目に描かれた絵本やおもちゃというのは、大人にとっても面白く感じるものだそうです。
②絵を見るだけでストーリーが分かる
同じ桃太郎のお話でも、桃から生まれた赤ちゃんが次のページで急に大きくなっている絵本より、大きくなる過程を絵の中で表現されている絵本のほうが、子供に理解されやすいそうです。
『読み聞かせをしている大人は文章しか目で追っていませんが、その間、子供は絵だけをじーっと見て空想を膨らますんです。子供だけでなく、私たち大人も読み聞かせをしてもらうと自然と絵に目が行くはずです。そのとき、話されている人物や事柄が絵に出てこないと、なんとなくしっくり来ないんですね。』
例えば・・・とスタッフの方が手元に持っていた絵本を開くと、ねずみの家族の紹介が最初にありましたが、描かれているねずみの子供たち以外は壁の家族写真にさりげなく映っていました!なるほど、これなら“おばあちゃんねずみ”と言われても、ああ、この人か!と文章と絵が合致するわけですね。
家に帰ってから、とりあえず買い揃えた安い童話の絵本を見返したんですが、あっという間に桃太郎は大人になっていて、確かに絵だけ見ていてもストーリーが思い描けない・・・こういうところに、価格の差が出ているのかも。
③“ベストセラー”より“ロングセラー”
そのときヒットした本かどうかより、長く親しまれて増刷されている本かどうかもポイントだそう。
『ただ、絵本も古くなってくるとカラーが褪せてきて、絵自体の力がなくなってくるものなんです。やっぱり新しい本というのはそれだけで目を惹く力があります。せっかくの良い内容も、子供の興味が半減してしまわないように、出来る限り古いものは新品に差し替えられるようにしたいと努力しています。』
例に挙げていただいたポイントも重要ですが、それ以前に“絵本を読んであげる”ということ自体が大切で、子どもに素晴らしい癒しの時間を与えてあげられることになるんですって。
『怒りながら絵本を読むお母さんっていないですよね。落ち着いた、優しい声で語りかけられる、そのひとときが子供にすごく安心感を与えるんです。それに読んでもらうと、文章を追わずに頭で物語を想像する楽しみがありますからね。文字が読めるようになっても、ぜひ読み聞かせは長く続けて欲しいと思っています。
あと、大切なのは本を通して教育しようとあまり思わないことです。読み聞かせをしているうちに、自然と文字を覚えたりするのは副産物のようなもの!絵本にしっかり目が向いてなくても、お話は耳から聞こえていますし、文字を読ませようとすると絵からお話を想像しようとする楽しみもすっかり台無しです。
また、おばけが出てくる本などで無理に怖がらせて教育に使おうとすると、ずっとその子はおばけの本を楽しめなくなってしまいます。知育を目的にした絵本が悪いわけではないですが、あくまでそれはプラスアルファのものとして捉えて、絵本そのものの良さに触れられる機会を増やしてあげたいですね。』
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そんな話を聞いている傍らでは、なび息子が別のスタッフさんに布絵本を読んでもらっていました。こちらでは毎回11時から読み聞かせを行っているのですが、それ以外でも絵本を読んでくれたり、こうして一緒に遊んでくれたりと子供も十分楽しめる図書館になっています。
この布絵本、みんな手作りなんですって!私もこういうのを作ってあげたいなあ・・・と心では思っているんですが、なかなか時間が作れなくて。
『私たちも、昔はこんなのを子供に作ってあげたいなぁと思っていたんですよ。でも、子育て真っ最中のときはやっぱり時間がなかったですね。今になってようやくこうやって手作りをして、いらっしゃるお子さんたちに楽しんでいただけていますよ。』
布絵本は単に絵本が布で作られているというわけではなく、紙の絵本にはない楽しみが満載!例えば表紙に描かれている魔女の女の子がそのまま紐でくくられていて、全部のページに手で持って登場させられるような様々な仕掛けが施されているんです。
フクロウの目を開かせようと、ボタンで出来た目を切り目に通してボタン付けの体験をしたり、マジックテープのついた星を夜空にくっつけてみたりと、遊びを通じて日常生活で必要な作業を学べてしまうという知育的な要素を含んだものも。
この手腕を生かして、布絵本だけではなく手遊びの“お弁当の歌”にちなんだ小物が揃ったセットや、魚が何個もボタンで繋がってくねくねするおもちゃ(ボタン付けの練習もできる!)など、なかなか自分では作れそうで作れない布製の小物が1セット300円で販売されていました。
その影では、1冊でも多くの新しい絵本を買うために・・・という、涙ぐましい資金集めの現状が。
バブル期にはこうした民間活動に対して多くの助成金があったので、たくさんの本を買うことが出来たそうですが、財政難な現在の八千代市からは、活動場所の提供は続けられているものの絵本を買えるほどの資金は得られず、独自で伊藤忠財団の“子ども文庫助成”に応募したり、八千代市民文化福祉基金から5万円の助成金を得たりして、わずかながらも新規購入の財源に充てているんですって。
『市からの助成金はごく僅かですし、伊藤忠財団から数年前にいただいた20万円程の助成金も0~3歳程度向けの絵本を買い揃えるのに利用しました。今年は新たな財源が無いのですが、1冊でも多くの絵本を増やしていくためにも、こうして小物を販売したりして頑張っています。』
帰りがけ、私も本を借りていくことにしました。
なび息子がなぜか手にしていた「おかえし」の本(子供の頃すごくハマって何度も読み返した!)と、その隣りに置いてあった「めっきらもっきらどおんどん」(これも大好きで、弟とよく餅を食べるシーンをマネしてたっけ。)、それになび息子リクエストの「ねないこだれだ」(私は恐ろしくてあまり好きじゃなかったけれど、息子は何度も図書館で借ります)の3冊の絵本をチョイス。
それと、絵本やおもちゃ選びの参考にと勧めてくれた相沢康夫さんの「好きッ!絵本とおもちゃの日々」という本もお借りしました。
借りるには最初に入会金100円を支払えば、無料で1回につき4冊まで貸し出してくれます。この100円で一人分の管理カードを作ってもらえるのですが、もし4冊以上借りたい場合は今回はなび息子の名前で作りましたが、私の分のカードをもう100円支払って作ってもらえば計8冊まで借りることができるシステムです。
ちなみに、何かカードをもらうわけではなく、すくすく文庫さんのほうで管理カードを保管していて、それに貸し出し状況を記録してもらうので、私は本だけを4冊受け取りました。
返却期限は1週間。次の水曜日に、また返却しに来なくっちゃ!
『お子さんの体調もありますし、絶対に1週間後に返却!ということではありませんが、出来ればご連絡いただいて早いうちにお返しいただけると助かります。』
「すくすく文庫」という名前には、子供たちがたくさんの本や友達と出会い、本を介して親や大人たちと交わりあい、心も体も“すくすく”と育ちますように・・・という願いが込められているそうです。
こういった施設の維持というのは大変なことだと思いますが、ぜひ地元の大切な場所のひとつとして、積極的に活用していきたいですね!
私も今回教えていただいて、何だか穴場スポットを発見した気分です。なび息子も軽く2時間はご機嫌で過ごせていたし、児童会館の2階にはちゃんとトイレもあったし、今度はママ友達と一緒に行ってみようかな。
●すくすく文庫 047-482-5212(長尾)
千葉県八千代市村上1113-1 村上公民館隣り児童会館2階
【開館日】毎週水曜日 10:30~15:30
【駐車場】有り/公民館駐車場と共用
※年2回(6月・12月頃)開催されるお楽しみ会の日は、人数が多いためお車での来館はご遠慮ください。
【貸出方法】入会金100円、本の貸し出しは無料(一人4冊まで)
※毎回11時から絵本の読み聞かせを行っています。
【すくすく文庫ブログ】http://ehonippai.exblog.jp/
そうなると読んであげる方も力が入ってくるもので、少し買い揃えた童話だけじゃ物足りなくなりまして、その週に読む絵本を図書館で借りてくるようになりました。
はじめはなび息子にウケが良かったミッフィーちゃんや、0歳~2歳児向けの棚から何冊か選んでいましたが、だんだん行き当たりばったり的な絵本の選び方に、「今のなび息子にとって“良い本”を選んであげられているのかしら?」と不安に思うようにも。
そこでインターネットで2歳児向けのオススメ本を検索しては、それを図書館のホームページから予約登録して借りるようにもしたのですが、実際にはそうして選んだ本よりも、図書館でどこからか持ってきたなび息子リクエスト本の方が何度も読むようにせがまれたり・・・。それも、「なび息子には、まだこの本は難しいよ!」と戻しに行きたくなるくらい文字が多い本のときがあれば、逆に絵ばっかりの0歳向けっぽい絵本を2週続けて借りようとしたり、イマイチなび息子のツボが分かりません。
良い絵本選びって、みんなどうしてるんだろう?
そんなモヤモヤを抱えていた私に、目からウロコが落ちるようなお話をしてくれたのが「すくすく文庫」さんでした。何ともスッキリと悩みを解消してもらったその場所は、村上団地内にある絵本の図書館!“文庫”と聞いても馴染みがないかもしれませんが、地域のお母さん方がボランティアで運営している私設図書館のようなもので、かれこれ30年も活動が続けられているんですって。
場所は、村上公民館に隣接する児童会館の2階です。ジョイフル本田前に新しく出来た16号の交差点から、生活館とペット館の間を道なりに進んでいきます。途中右手に村上ひかり幼稚園があるその道をもう少し入っていくと、村上団地1-38号棟と37号棟の間に村上公民館の駐車場入口の門が見えてくるので、そこを抜ければすぐ前に建物が見えます。
一度分かればとても来やすいのですが、村上団地に住んでなかったらここを通ることもないし、教えてもらわない限りずっと知らないままだったわ・・・。
車は公民館の駐車場を無料で借りることができます。駐車台数は意外と多く、門を抜けて右側に白ラインが書いてあるのですが、ここに縦列駐車が出来るのと、その奥に駐車スペースが数台分、さらにグラウンド脇の砂利の部分にも停めて良いそうです。うっかりグラウンド内にも停められるのかしら?と思えてしまう感じでしたが、学童保育所の園庭として利用されているので利用できません。
※6月・12月頃に年2回行われるお楽しみ会の日は、たくさんの方が集まるので基本的にバスなど公共交通機関を利用するなどして、駐車場の利用は控えていただいているとのことでした。
建物の正面向かって右側が公民館、左側が児童会館になっていて、すくすく文庫は児童会館の外階段を昇った2階にあります。階段は少し急で、且つそれほど広くないこともあってか、ベビーカーは階段の下に並べてありました。ここに停めてお子さんだけ抱っこして皆さん利用されているのかな?
ちなみに、向いには郵便局や銀行があるので人通りは多いけれども、ここまでは車が出入り出来ないので、ベビーカーにセットするときなどもちょっと安心。
2階の正面玄関で、下駄箱に用意されているスリッパに履き替えて右手へ。廊下の一番奥にある金属扉の先が、すくすく文庫の入口です。今思えば、お子さんが勝手に出ていかないようになんでしょうけれども、扉が開館時間も常に閉じている状態だったので、入るのにやや躊躇してしまいました・・・。
ここで良いのよね?
なーんて戸惑いながら開けてみたらびっくり!毎週水曜日だけしかオープンしないと伺っていたので、てっきり移動図書館みたいな簡易なものだとばっかり思っていたんです。ところがどっこい、普通にちゃんとした図書館じゃないですか!
現在すくすく文庫を支えているボランティアスタッフは総勢20名ほどいらっしゃるそうで、毎週の開館に合わせて、10:30~13:00とその後15:30の閉館時間までの入れ替え制で人のやりくりをし、本の貸出管理や子供たちへの読み聞かせ、お母さん方へのアドバイスなどを行っているそうです。
この日も女性の方が3名ほどいらっしゃいました。
『このすくすく文庫を支えているスタッフは、皆さん子供が小さかった頃には“利用者”として訪れていた方々だったりするんですよ。こうした活動を始めて30年近くになるのですが、最初の頃は村上団地の集会所の入口で、県立図書館などから団体貸出をしてきた本を都度並べていました。当時、本を閉まっていたロッカーというのが、このカウンターの奥に並んでいるグレーのロッカーなんですよ。昭和57年の村上公民館開館に合わせて、市にお願いしてこの活動のために児童会館の一室を提供していただき、現在に至っています。』
当時は村上団地にどんどんと若い世代が移り住み、子供たちで溢れかえっていたそうです。まだ一番近い図書館といえば大和田図書館くらいしかなく、このすくすく文庫が村上団地の図書館代わりとして大変な賑わいを見せていました。しかし、だんだんと子どもが少なくなり、また勝田台図書館も近くに出来て、さらに車を利用するママも増えて緑が丘図書館や近隣市の図書館を利用するようにもなり・・・すくすく文庫の利用者は次第に低年齢化が進んでいったそうです。
『当時は大きなお子さんも大勢いらっしゃったので、小学生~中学生向けの本を主に取り揃えていました。利用する際も今の図書館と変わらず、静かに周りに気遣いながらの空間でしたが、市内の図書館が整備されるとそうした子供たちはすくすく文庫から消え、次第に小さなお子さんが対象となっていったのです。
毎週水曜日は幼稚園が午前保育だったので、帰りに寄ってくださるお子さんも多かったのですが、土曜日がお休みになってからは水曜日の開館に間にあわず、さらに利用の中心が0歳~未就園児と絞られるようになりました。もちろん今でも幼稚園に通いながら遊びに来てくれるお子さんも大勢いますが、最近はバスで遠い幼稚園に通う傾向も多いせいか、なかなか時間が合わないようです。』
30年近くもの年月の間に、すくすく文庫の蔵書も5,000冊を超えるほどにまでなりましたが、こうした利用層の変化に応じて、今も新しい絵本を定期的に増やしているんだそう。
しかも、単に数を増やすのではなく、どれもかなりこだわって選ばれてきた良質な絵本ばかり!
『とにかく、蔵書には自信があります。また、一般的な図書館と違って親子連れの方しか来ませんので、周囲に気を使うことなくゆっくりと絵本をお選びいただけるのも特長のひとつですね。』
そうそう、そうなんですよー!
いつも図書館へ借りに行くと、まだ2歳のなび息子は急に大声を出してみたり、ちょっと目を離すと本棚の影に隠れてどこかへ消えてしまったり、気付けば本をあちらこちらから持ってこようとしたりで、周りの迷惑を考えると落ち着いて本を選ぶことが出来ないんです・・・。
なので最近は予約した本を受け取るスタイルで利用していますが、やっぱり手にとって選ぶ楽しさも捨てがたいし、子供に選ばせてあげられないという不満は残ります。
でもここなら追いかける必要はないし、賑やかにしてもお互い様だし、それになによりボランティアスタッフの方々と絵本について、さらには先輩ママとしての子育てアドバイスまで話し合えるのが素晴らしい!
私が絵本をどのように選んであげれば良いのか悩んでいるということを口にすると、いくつか良い絵本選びのポイントを教えてくださいました。
①子供に媚びていない
いかにも子供向けに描こうとしているものより、きちんと実際にあるありのままを描いてある絵の方が、子供も不自然に感じないそう。例えば、動物なのに人間のような手をしていたりすると、子供は「どうして?」と聞いてくるそう。でも逆に、こういう発見を子供がしてくれると感動しますよ!とおっしゃっていました。
媚びずに真面目に描かれた絵本やおもちゃというのは、大人にとっても面白く感じるものだそうです。
②絵を見るだけでストーリーが分かる
同じ桃太郎のお話でも、桃から生まれた赤ちゃんが次のページで急に大きくなっている絵本より、大きくなる過程を絵の中で表現されている絵本のほうが、子供に理解されやすいそうです。
『読み聞かせをしている大人は文章しか目で追っていませんが、その間、子供は絵だけをじーっと見て空想を膨らますんです。子供だけでなく、私たち大人も読み聞かせをしてもらうと自然と絵に目が行くはずです。そのとき、話されている人物や事柄が絵に出てこないと、なんとなくしっくり来ないんですね。』
例えば・・・とスタッフの方が手元に持っていた絵本を開くと、ねずみの家族の紹介が最初にありましたが、描かれているねずみの子供たち以外は壁の家族写真にさりげなく映っていました!なるほど、これなら“おばあちゃんねずみ”と言われても、ああ、この人か!と文章と絵が合致するわけですね。
家に帰ってから、とりあえず買い揃えた安い童話の絵本を見返したんですが、あっという間に桃太郎は大人になっていて、確かに絵だけ見ていてもストーリーが思い描けない・・・こういうところに、価格の差が出ているのかも。
③“ベストセラー”より“ロングセラー”
そのときヒットした本かどうかより、長く親しまれて増刷されている本かどうかもポイントだそう。
『ただ、絵本も古くなってくるとカラーが褪せてきて、絵自体の力がなくなってくるものなんです。やっぱり新しい本というのはそれだけで目を惹く力があります。せっかくの良い内容も、子供の興味が半減してしまわないように、出来る限り古いものは新品に差し替えられるようにしたいと努力しています。』
例に挙げていただいたポイントも重要ですが、それ以前に“絵本を読んであげる”ということ自体が大切で、子どもに素晴らしい癒しの時間を与えてあげられることになるんですって。
『怒りながら絵本を読むお母さんっていないですよね。落ち着いた、優しい声で語りかけられる、そのひとときが子供にすごく安心感を与えるんです。それに読んでもらうと、文章を追わずに頭で物語を想像する楽しみがありますからね。文字が読めるようになっても、ぜひ読み聞かせは長く続けて欲しいと思っています。
あと、大切なのは本を通して教育しようとあまり思わないことです。読み聞かせをしているうちに、自然と文字を覚えたりするのは副産物のようなもの!絵本にしっかり目が向いてなくても、お話は耳から聞こえていますし、文字を読ませようとすると絵からお話を想像しようとする楽しみもすっかり台無しです。
また、おばけが出てくる本などで無理に怖がらせて教育に使おうとすると、ずっとその子はおばけの本を楽しめなくなってしまいます。知育を目的にした絵本が悪いわけではないですが、あくまでそれはプラスアルファのものとして捉えて、絵本そのものの良さに触れられる機会を増やしてあげたいですね。』
a
そんな話を聞いている傍らでは、なび息子が別のスタッフさんに布絵本を読んでもらっていました。こちらでは毎回11時から読み聞かせを行っているのですが、それ以外でも絵本を読んでくれたり、こうして一緒に遊んでくれたりと子供も十分楽しめる図書館になっています。
この布絵本、みんな手作りなんですって!私もこういうのを作ってあげたいなあ・・・と心では思っているんですが、なかなか時間が作れなくて。
『私たちも、昔はこんなのを子供に作ってあげたいなぁと思っていたんですよ。でも、子育て真っ最中のときはやっぱり時間がなかったですね。今になってようやくこうやって手作りをして、いらっしゃるお子さんたちに楽しんでいただけていますよ。』
布絵本は単に絵本が布で作られているというわけではなく、紙の絵本にはない楽しみが満載!例えば表紙に描かれている魔女の女の子がそのまま紐でくくられていて、全部のページに手で持って登場させられるような様々な仕掛けが施されているんです。
フクロウの目を開かせようと、ボタンで出来た目を切り目に通してボタン付けの体験をしたり、マジックテープのついた星を夜空にくっつけてみたりと、遊びを通じて日常生活で必要な作業を学べてしまうという知育的な要素を含んだものも。
この手腕を生かして、布絵本だけではなく手遊びの“お弁当の歌”にちなんだ小物が揃ったセットや、魚が何個もボタンで繋がってくねくねするおもちゃ(ボタン付けの練習もできる!)など、なかなか自分では作れそうで作れない布製の小物が1セット300円で販売されていました。
その影では、1冊でも多くの新しい絵本を買うために・・・という、涙ぐましい資金集めの現状が。
バブル期にはこうした民間活動に対して多くの助成金があったので、たくさんの本を買うことが出来たそうですが、財政難な現在の八千代市からは、活動場所の提供は続けられているものの絵本を買えるほどの資金は得られず、独自で伊藤忠財団の“子ども文庫助成”に応募したり、八千代市民文化福祉基金から5万円の助成金を得たりして、わずかながらも新規購入の財源に充てているんですって。
『市からの助成金はごく僅かですし、伊藤忠財団から数年前にいただいた20万円程の助成金も0~3歳程度向けの絵本を買い揃えるのに利用しました。今年は新たな財源が無いのですが、1冊でも多くの絵本を増やしていくためにも、こうして小物を販売したりして頑張っています。』
帰りがけ、私も本を借りていくことにしました。
なび息子がなぜか手にしていた「おかえし」の本(子供の頃すごくハマって何度も読み返した!)と、その隣りに置いてあった「めっきらもっきらどおんどん」(これも大好きで、弟とよく餅を食べるシーンをマネしてたっけ。)、それになび息子リクエストの「ねないこだれだ」(私は恐ろしくてあまり好きじゃなかったけれど、息子は何度も図書館で借ります)の3冊の絵本をチョイス。
それと、絵本やおもちゃ選びの参考にと勧めてくれた相沢康夫さんの「好きッ!絵本とおもちゃの日々」という本もお借りしました。
借りるには最初に入会金100円を支払えば、無料で1回につき4冊まで貸し出してくれます。この100円で一人分の管理カードを作ってもらえるのですが、もし4冊以上借りたい場合は今回はなび息子の名前で作りましたが、私の分のカードをもう100円支払って作ってもらえば計8冊まで借りることができるシステムです。
ちなみに、何かカードをもらうわけではなく、すくすく文庫さんのほうで管理カードを保管していて、それに貸し出し状況を記録してもらうので、私は本だけを4冊受け取りました。
返却期限は1週間。次の水曜日に、また返却しに来なくっちゃ!
『お子さんの体調もありますし、絶対に1週間後に返却!ということではありませんが、出来ればご連絡いただいて早いうちにお返しいただけると助かります。』
「すくすく文庫」という名前には、子供たちがたくさんの本や友達と出会い、本を介して親や大人たちと交わりあい、心も体も“すくすく”と育ちますように・・・という願いが込められているそうです。
こういった施設の維持というのは大変なことだと思いますが、ぜひ地元の大切な場所のひとつとして、積極的に活用していきたいですね!
私も今回教えていただいて、何だか穴場スポットを発見した気分です。なび息子も軽く2時間はご機嫌で過ごせていたし、児童会館の2階にはちゃんとトイレもあったし、今度はママ友達と一緒に行ってみようかな。
●すくすく文庫 047-482-5212(長尾)
千葉県八千代市村上1113-1 村上公民館隣り児童会館2階
【開館日】毎週水曜日 10:30~15:30
【駐車場】有り/公民館駐車場と共用
※年2回(6月・12月頃)開催されるお楽しみ会の日は、人数が多いためお車での来館はご遠慮ください。
【貸出方法】入会金100円、本の貸し出しは無料(一人4冊まで)
※毎回11時から絵本の読み聞かせを行っています。
【すくすく文庫ブログ】http://ehonippai.exblog.jp/